医療とかケアとか

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Klebsiella

こんにちは、今日はクレブシエラについてです。

 

血液培養でKlebsiella Sp.の記載があり、感受性が出るまで想定する細かい菌種などは?抗菌薬の選択は?と思い調べてみました。

 

Klebsiella属は腸内細菌科のひとつ。

こちらの図の黒線、赤線が全てKlebsiella 属とのことです。こんなに種類があるのですね、知りませんでした。

図1

www.nature.com

 

Klebsiellaの中でも一番馴染み深いのが、

Klebsiella pneumoniae

単純性腎盂腎炎の頻度の高い起因菌3つの頭文字をとったゴロの"PEK"のK,ですね。

また、肺炎や肝膿瘍の原因となることでも有名です。

・市中感染

アルコール多飲者、糖尿病患者などに感染を起こしやすい

 

・院内感染

日和見感染症

多剤耐性化しやすい

院内感染症の原因として報告の多いグラ ム陰性桿菌について、2002 年2月時点で論 文検索した結果を表3に示す。腸内細菌科 では、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿 菌(Klebseilla pneumoniae)、Serratia 属 菌の順に件数が多く報告されており、ブド ウ糖非発酵菌群では緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa )、 Acinetobacter 属 菌 、 Burkholderia cepacia の順に報告件数が多 くなっている。

 

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/090123-2.pdf

 

転移しやすいことも留意する必要があります。敗血症、肺炎、眼内炎、全身膿瘍などの原因となります。難渋した例を地方会とか症例報告でたまに見ますよね。

ムコイド型のクレブシエラだと過粘稠性が高く、全身に転移しやすいそうです。過粘稠性を見る試験はstring testといって、培地に生えたコロニーに5mm以上糸を引けば陽性とのこと。細菌検査室でやっているのか、今度聞いてみようっと。

 

ほか、

Klebsiella oxytoca

これは知らなかったので検索したら抗菌薬関連の出血性大腸炎の原因となるそう。たくさんヒットしました。C. difficile関連性腸炎が高齢者に多いのに比較すると、比較的若年者、女性に多い特徴。

HP 除菌療法施行時の発症率は 0.6% 程度との報告もあり注意が必要だそう。

原因抗菌薬の中止で経過を見れば1週間で改善するとのことです。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa054765

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/107/12/107_12_1897/_pdf

 

Klebsiella aerogenes

2017 年に Enterobacter aerogenes の学名が変更された。

カルバペネム耐性菌となりやすいため注意が必要。

 

以上です。

奥深かったです、細かい遺伝型で莢膜やムコイドの強さが違うようですね。

 

自分が関わるセッティングとしては、転移に気をつけること、全身の膿瘍検索を行うこと、string testが有用でどの検査室でも行えそうなこと、菌種により多剤耐性化しやすいことを覚えておこうと思います。